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現在は相当数のアプリケーションとサービスがクラウドで処理され、顧客のファイルや重要なデータもクラウドに保管されています。しかし一般的にはいまだにクラウドへの信頼度は高くないように見受けられます。例えば、iPhoneユーザがiCloud(Appleのクラウドバックアップサービス)に、AndroidユーザがGoogleのクラウドサービスに、それぞれ作成可能なバックアップについてあまり信頼されていないように思います。また、業務でのクラウドソリューションの利用に消極的な企業担当者も少なくありません。

現状、クラウドソリューションの利用の多くは個人が取る選択肢となっていて、実際個人データの扱いや作業パフォーマンスへの影響を考えるとよい選択とも言えます。

しかし、クラウドソリューションはより一層安定かつ効率的、また経済的なものになりつつあります。企業と消費者もますますデータとデジタルサービスに依存していますが、デジタルサービス自体は選択できても、クラウドを使用しないという選択は難しくなってきています。クラウド化が不可避な場合、ユーザが今までクラウドに対して覚えてきた不信感が、そのままサービス構築のヒントになります。

では、ユーザの不信感や誤解はどのようなものがあるのでしょうか。

思い込み「クラウド処理への理解自体が不足している」

一番根本的かつはっきりしているのは、そもそも「クラウド」への理解が不十分な点です。クラウドという一言にはさまざまな製品とサービスが含まれていますが、そのすべてで、デバイスや場所に依存せず、便利にアクセスできます。

しかし便利な反面、実体がよく見えないのでどことなく不安になります。ユーザのデータがどこに置かれているかわからない、「クラウド」だけにまるで”雲”をつかむような印象を受けたり、雲のようにデータが霧散して消え去ってしまいそうな感じがしたり、そういう不安感です。

実際、クラウドはただ「ローカルデバイスに依存せずにインターネットにアクセスして利用するサービス」というだけのことで、ローカルのデータはローカルに実体があるように、クラウド上のデータもまたサービス提供元のデータセンターに実体が保存されています。権限を持つユーザだけが任意にアクセスできるという点は、ローカルでもクラウドでも違いはありませんし、クラウド上のデータが雲のように吹き飛んでしまうこともごく稀です。プロフェッショナルが管理している分、ローカルのデータより安全かもしれません。

思い込み「暗号化とハッキング」

自分のファイルが他人のHDDに保存されていることを知れば、普通はアクセス権や暗号強度を気にして、他人が自分のファイルにアクセスできるかを心配します。これには複雑な要素が絡みますが、潜在的なセキュリティリスクがないとも言えません。
Googleなど大多数のクラウドサービス企業は、ファイアウォールでデータセンターを守る上に保存したデータも暗号化して、漏洩のリスクを下げています。

それでもデータ漏えいの可能性を100%封じることはできません。外部に開放している時点で、どうしても何かしらの突破口は出てしまいます。たとえハッキングで侵入できなかったとしても、ユーザのアカウントとパスワードが漏えいしてしまった場合はどんな完璧な保護を謳うクラウドサービスでもファイルを盗まれます。しかし、それでもローカルで発生する漏えい被害よりはある程度抑えることはできます。

極端に言えば、どんなシステムにも潜在的な弱点やセキュリティホールがあります。ローカルでもクラウドでも同じです。クラウドに保存されているファイルはローカルディスクのファイルと同じように、権限がなければアクセスできません。ユーザはさらに追加の暗号化やパスワード強度を上げることでファイルを保護できます。

思い込み「ファイルの完全性とアクセシビリティ」

データの価値は日に日に高くなり、いろんな形式に変換もできます。それは財務情報のExcelファイルだったり、機密情報が含まれるドキュメントだったりしますし、顧客情報などもあります。これらの情報は企業の運営に大きく関わり、当然保護にも力を入れなければいけません。

保護に際して、人間はどうしても外部からのハッキングや偽装によるアクセス防止策よりも、ファイル自体への完全なコントロールと所持権限を重要視します。ファイルがローカルに保存されれば、体感的に安全性が高いように感じます。ファイルの完全性とアクセシビリティをまるまる自分で制御できる安心感は、なかなかクラウドのソリューションでは超えられません。

気になる営業ならファイルはクラウドだけでなく、ローカルにも必ずコピーをとっておきます。ファイルの紛失だけを気にするのであれば、クラウドをただのバックアップツールと見なしても良いでしょう。

思い込み「サービスの安定性」

クラウドサービスにはインターネットが必要不可欠で、このせいで尻込みするユーザも一定数います。現代はインターネットが広く普及して、水や空気に近い存在になっています。有線ネットワークではなくてもスマートフォンなどのモバイル通信も使え、街のいたるところにはWi-Fiのアクセスポイントもあります。

しかし、特にインターネット環境の整備が遅れていたり古い設備や貧弱な設備を使い続けている(使い続けなければならない)環境だったりすると、常に安定した通信環境を得られないことがあります。無線通信では電波環境の悪化や圏外、有線ネットワークでも故障することがあり、クラウドサービスがどうしても不安定になります。その対策としてオフラインでも利用できる機能を提供しているクラウドサービスもありますが、それも短時間で回線が復旧する前提のもので、これもクラウドサービスが忌避される要素のひとつです。

各サービスベンダーの改善とマーケティング活動により、クラウドサービスは今や十分な魅力を持ち、各種アプリケーションとサービスの開発にもリソースが投入されています。しかし、いまだに消費者にとって、クラウド処理とローカル端末処理の間は曖昧なままで、アピールが不十分です。

これを解決するには、やはりクラウドサービスのメリットを強調するしかありません。前述の通り、バックアップ機能、安全性、サービスのアクセシビリティなどがポイントになりえます。それとは別に、運営コストがリーズナブルであることもアピールポイントのひとつと考えられます。

複雑な要素が絡むので、一般消費者のクラウド処理に対しての不信感は短期間では解決できませんが、クラウドサービスベンダーは着実に安定かつ安価で使いやすいサービスを増やしています。

クラウドサービスへの移行を考えている、自身のクラウドサービスを広めようとするのであれば、説得力のある論点を用意しつつ、クラウドサービスに対しての「思い込み」をしっかり解消した方がスムーズに進めるでしょう。

TotalSecurityFortの全部または一部機能をクラウドに移行したいユーザに対しては、弊社がともに疑問を解消いたしますので、ぜひご相談ください。